沿革(設立の経緯)

日本における新薬開発力の低下の大きな原因の一つは、医薬分子がどのように人体に作用しているかを解明するプロセスが、場当たり的で非効率・曖昧・非合理な点であります。そのために、医薬品開発は長期化し、膨大なコストを投じたリード化合物は臨床試験で安易にドロップします。また、医薬分子の作用メカニズムが不明であるため、多くのドロップ化合物は再利用されません。

これら原因が克服できれば、新規リード化合物を迅速に臨床研究へステップアップすることができるだけではなく、ドロップ化合物を再最適化・再リード化して再び臨床研究へステップアップすることやドロップ化合物の未知の効能の新発見を体系化することができ、創薬を成長牽引産業に変換する即効起爆剤となることが期待できます。また、開発された技術は製薬企業の体質強化を図るだけでなく、バイオIT・バイオベンチャーなどの周辺産業の強化が見込まれます。

産総研では、産総研第3 期中期計画「先進的、総合的な創薬技術、医療技術の開発」のミッションの元で多様な研究活動が行われ、既に創薬基盤技術に関し研究開発実績と成果を有しています。実際、分子プロファイリングの基盤技術となる、独自のロボット・ナノテク・CR技術・cDNAリソースにより、従来困難であった超高精度なバイオ計測を可能にしました。また計測データを基に薬効・副作用を推定する独自の数理解析手法も開発されています。さらに従来の10倍の精度・高速性をもつバイオIT薬物分子設計が可能であり、且つ高感度のNMR相互作用技術による検証も行うこともできます。

この度、これら産総研内の創薬基盤研究者を結集し、停滞している日本の創薬力を短期的且つ効果的に活性化させることを目的として、本研究センターを設立しました。

第一期創薬分子プロファイリング研究センターでは、世界でもトップレベルの高精度なバイオ計測・解析技術(バイオIT技術)を開発してきました。これらの技術を融合することにより、創薬プロセスに要する時間の短縮化とターゲット物質の特定や薬物設計を効率化することができ、革新的な創薬プロセスの実現が期待されています。

第二期創薬分子プロファイリング研究センターでは、分子プロファイリング技術開発を、臨床研究にフォーカスします。創薬において最もコストがかかる臨床研究は予算スケールが大きく、連携の成功が即事業収益に直結するため、より早く明確で大きな産業波及効果を示すことが可能です。

さらに、第一期創薬分子プロファイリング研究センターにおいて構築され、多くの実績をあげた完成度の高い研究リソース計測・解析技術やデータベース構築技術を活用した5つの新規事業(「橋渡り」)を開始します。